FXで投資をはじめるとき、レバレッジというあまり聞かない言葉がでてきます。
このレバレッジがあるおかげで少額の資金で投資ができてしまうのですが、でもこのレバレッジ、あなたはちゃんと理解していますか?
もし、あまり自信がなくても安心してください。ここでは、レバレッジに関する基本的な疑問点を様々な角度から詳しく解説しています。それでは見てみましょう。
レバレッジとは
レバレッジについて調べてみると、よく「てこの原理」という意味で説明されていますね。でもこれ、説明としては間違ってはいないですが、いまいちよく分からないですね。
結局、レバレッジとは「投資資金に対して〇〇倍の取引ができますよ」という意味で、仮にレバレッジが10倍の場合に投資資金が10万円ならば、「10万円の10倍である100万円分の取引が10万円でできますよ」という意味になります。
逆にいえば、100万円分の取引ならば、「100万円の10分の1(レバレッジ10倍なので)である10万円で100万円分の取引ができますよ」という意味になります。
なぜレバレッジの取引が可能なのか?
FXはなぜレバレッジの効果で、少ない投資資金で取引できるのでしょうか。
それは、FXの仕組みに答えがあります。例えば、100円のモノを買うときは100円を支払ってモノを受取るのが通常の取引ですよね。
これがFXの場合、差金決済といって買ったり売ったりする取引時に、お金を払うことはしないで、買値と売値の差額分だけを支払ったり、受取ったりする方法を使っているので、少ない投資資金で取引が可能なんです。
例えば、1ドル=100円のときに1ドルを買ったとします。この場合、本来であれば1ドルを払う必要がありますが、実際には100円を渡すことはありません。
その後、買ったドルが120円まで値上がりしたときに売り決済すると、120円を受取ることになりますが、実際に120円は受け取らずに、120円と100円の差額である20円だけを受取ることになるのです。この、差額分だけを受取ったり、支払ったりする取引のことを差金決済というのです。
この仕組みがあるおかげでFXは少ない投資資金で取引ができるんですね。
レバレッジの計算方法
レバレッジを計算する方法はカンタンです。実際には2つの見方があるので、それをご紹介します。
取引金額から見た場合のレバレッジの倍率の計算方法
自身の投資資金があって、実際に取引している場合に、どれ位のレバレッジで取引しているのか、ということを計算する方法がこれです。
想定元本÷投資資金=レバレッジ
例えば、投資資金が100万円で、1ドルが120円の時に10万ドルの取引をしている場合のレバレッジは、
想定元本÷投資資金=レバレッジなので、
1200万円÷100万円=12
ということで、レバレッジは12倍ということになります。
レバレッジの倍率から必要な投資資金を計算する方法
次に、取引する金額は決まっている場合にレバレッジの倍率を使って必要な投資資金(証拠金)を計算する方法がこれです。
想定元本×証拠金率=必要な証拠金額
例えば、1ドルが120円の時に10万ドルの取引をする場合の必要な証拠金は、
1200万円×4%(証拠金率)=48万円
ということで、必要な投資資金(証拠金)は48万円ということになります。
証拠金率の4%ってなに?どこからきたの?
店頭FXでは、どこの会社も証拠金率は4%となっています。でもこの4%ってどこからきた数値なのでしょうか。
それは、金融商品取引業等に関する内閣府令によって決められているのです。この内閣府令は平成22年8月1日施行となっており、内容はこうです。
業者等に対して、個人顧客を相手方とするFX取引において、取引の額(想定元本)の4%以上の証拠金の預託を受けず当該顧客にFX取引を行わせることを禁止
これによって、証拠金率は4%以上にしなければならなくなり、結果としてどのFX会社も一番少ない4%で行っているのです。
レバレッジの最大○○倍ってなに?
レバレッジのことを調べていると、「最大○○倍」と表記されていたりしますが、これは何なのでしょうか。
これは、上記の証拠金率4%から計算された数値で、金融商品取引業等に関する内閣府令により、証拠金は取引の額(想定元本)の4%以上でなければならないとなっているため、
1÷4%=25 ということで、
最大25倍という数値で表しているのです。
レバレッジ1倍とは?
レバレッジが1倍ということは、投資資金と想定元本が同じであるということです。
例えば、1ドル=100円の時に1万ドルの取引をしようとしたとします。
この場合、日本円で100万円分の取引になりますが、投資資金も同じく100万円で運用する場合、「想定元本÷投資資金=レバレッジ」ですので、
100万円÷100万円=1
ということで、レバレッジは1倍となります。
なお、レバレッジが1倍未満の場合は、レバレッジを効かしていないということですので、FXのロスカットにはならない、というメリットがあります。
レバレッジを使うことによるメリットとデメリットは何か?
これまで、レバレッジについて学んできましたが、結局のところレバレッジを使うことによるメリットとデメリットは何なのでしょうか。
レバレッジのメリット
レバレッジのメリットといえばこれしかありません。それは「資金効率の良さ」です。
仮に100万円分の取引をする場合、外貨預金なら100万円が必要になります。株式も同じく100万円が必要ですし、信用取引でも30%となります。
これがFXなら4%と25分の1の資金で取引ができるのですから凄いことです。あとは、リスク管理さえしっかりすればこれほど資金効率がいい商品はなかなかありません。
レバレッジのデメリット
レバレッジのメリットは資金効率の良さでしたが、ではデメリットは何になるのでしょうか。
それは「ありません」です。
えっ!そんなことないはず、だって投資資金からするとレバレッジが効いて大きな損失になるし、場合によってはロスカットにだってなるじゃない!
と、思っているあなた。
実はそれ、間違いというか、勘違いなんです。その勘違いをこれから説明します。
まず「レバレッジが効いているから損失は大きくなる」ですが、一般的な説明では、例えば、1ドル=100円の時に1万ドルの取引をする場合、100万円分の取引をすることになります。
この場合、外貨預金ならまるまる100万円の投資資金が必要になりますが、FXなら4%分の4万円で同じ100万円分の取引ができますね。
次に、1ドル=100円だったのが、その後1ドル=99円に値下がった場合、外貨預金もFXもともに1万円の損失になります。
このときに、外貨預金は投資資金100万円に対して1万円の損失なので、損失率は1%であるが、FXの場合は投資資金4万円に対して1万円の損失なので、損失率は25%になるのでそれがデメリットである、という理屈です。
でもこれ、何だかおかしいと思いませんか。
本来、100万円分の取引をしているわけですから、1円の値下がりで1万円の損失になるのは外貨預金もFXも同じなわけです。
それを、FXのメリットであるレバレッジが効いた投資資金に対して損失率が高くなるからそれはデメリットになる、というのは無理があります。
ということで、レバレッジが効いているから損失は大きくなるは勘違いです。
次に、ロスカットになるからそれはデメリットだ、についてですが、これはそもそもロスカットはデメリットはないので理由にはならないです。
なぜロスカットになることがデメリットではないのか、についてはロスカットはリスクなのかをご覧ください。
レバレッジによって借金することはあるのか?
レバレッジを効かせて取引していると、相場状況によってはロスカットでは補え切れずに不足金(借金)が発生することはあるのでしょうか。
答えは「あります」です。
では、そのようなときに発生するのか例を見てみましょう。
例えば、1ドル=100円の時に1万ドルの買い取引をしたとします。このときの必要証拠金は4万円(=100円×1万ドル×4%)ですが、投資資金としては10万円を用意してFX口座に入金しました。
この場合のロスカットラインは、余剰金6万円(=投資資金10万円-証拠金4万円)がなくなる1ドル=94.00円とします。
※この場合のロスカットは便宜上100%ルールを採用しています。
その後、相場は思っていたのと反対に円高で値下がっていき、ある金曜日の終値がロスカットライン手前の94.20円であったとします。
そして、週末の土日にドル円相場に大きな影響を与えるニュースが突然発生。そのまま翌月曜日の朝、為替相場がスタートしましたが、ドル円のレートは大幅下落の始値が88.00円でスタートしたとします。
この場合、ロスカットは始値の88.00円になりますので、計算すると、
(売値88.00円-買値100.00円)×1万ドル=-12万円
投資資金10万円-12万円=-2万円
ということで、2万円が不足金(借金)となってしまうのです。
なお、FXで借金を作らないようにするためにはFXのロスカットとは?借金しないようにするためのコツはこれを参考にしてください。
まとめ
レバレッジについてまとめてみましょう。
- レバレッジとは、投資資金と想定元本との倍率のことである
- レバレッジ取引ができるのは差金決済の仕組みがあるから
- 証拠金率の4%は内閣府令で決まっている
- レバレッジでいわれるデメリットは勘違いの間違いだった
- レバレッジ取引は相場状況次第では借金となることもある
以上となりますが、これだけ知って理解していればレバレッジについては問題ありません。自身に合った取引を自信を持って行ってください。