FX初心者向けの書籍やサイトを見てみると、「初心者のレバレッジは、リスクを軽減するために2倍位にしたほうがいい」と書いているものがあります。
確かにレバレッジを抑えればロスカットまでの値幅も大きく見ることができるので、初心者にとっては安心感があります。
でも実はこれ、大きな間違いなんです。その理由あなたは分かりますか。
もし、答えられなくても心配はいりません。ここでその間違い理由と気付きについてしっかりとお伝えしていきますので安心してください。大丈夫です。それでは見てみましょう。
「レバレッジは2倍位がいい」といっている根拠は
あなたは、FXの書籍やサイトで「初心者のうちは、投資資金を目いっぱい使ったフルレバレッジの方がいい」と紹介しているものを見たことはありますか。おそらくないと思います。
反対に、「初心者のうちはレバレッジは2倍位の低レバレッジにしたほうがリスクを小さくできるのでいい」と書いているはたくさん見ているかと思います。
でもこれ、大きな間違いなんです。では、何を根拠にして「低レバレッジのほうが低リスクなのでいい」と言っているのでしょうか。
その答えはロスカットなんです。
投資資金のほとんどを証拠金として使うフルレバレッジの場合は、取引価格から少しだけマイナス方向に相場が変動しただけでロスカットとなってしまいます。
反面、レバレッジが2倍程度の低レバレッジであれば証拠金として使用しない余剰金の部分が多くあるため、それだけロスカットになるまでの値幅を大きく見ることができることからリスク軽減につながる、という理由から低レバレッジが初心者には向いている、と言っているのです。
でもこれ、大きな落とし穴があるんです。
それをこれから確認していきましょう。
なぜ「レバレッジは2倍位がいい」は間違いなのか
低レバレッジの場合、ロスカットまでの値幅がハイレバレッジと比べて大きく見ることができるので、それがリスク軽減につながって初心者に向いている、といろいろなところで薦められています。
でも、そもそもリスクとは何でしょうか。
1. そもそもリスクとはなんなのか
リスクとは国語辞典で調べると
リスク(risk) 危険
とあります。
危険=リスク なんですね。
では、FX投資における危険(リスク)とは何なのでしょうか。
FXのリスクについては、知らないと怖い!FX投資の6つのリスクってなに?に詳細がありますが、どこにもロスカットがリスクだなんて書いていないんです。
ロスカットというのは、投資資金以上のマイナス(不足金)が発生するのを防ぐために用いられている仕組みですので、決してリスクではありません。
では、なぜロスカットをリスクと考えてしまうのでしょうか。
2. ロスカットはリスクなのか
これまで約20年にわたって、多くの個人投資家の方々と話をしてきましたが、初心者のほとんどの方はロスカットをリスクと考えています。
その思考はこんな感じです。
投資資金のほとんどを証拠金として使用すると余剰金が少ない
↓
余剰金が少ないとロスカットまでの値幅も小さくなる
↓
それでもしロスカットになってしまうと強制決済で損失が確定する
↓
損失が確定すると現金残が減るので、それがリスクである
簡単にいうと、ロスカットによって損失が確定されてしまうので、それがリスクである、ということなんですね。
ここから、
ロスカット=リスク
リスク軽減=ロスカット回避
となってしまっているのです。
でも、ロスカットはリスクではありません。その理由を2つのパターン別比較から確認検証してみましょう。
■検証1
投資資金が100万円で、1ドル=120.00円のときに買いから始めて、その後1ドルが100円まで下落した場合
パターン1:
ほぼフルレバレッジにするために20万ドルを買った場合
結果:
この場合、わずか0.20円(=20銭)下落した119.80円になるとロスカットになってしまいます。
計算:
100万円(投資資金)-96万円(証拠金)=4万円(余剰金)
4万円(余剰金)÷20万ドル(取引量)=0.20円(ロスカットまでの値幅)
120.00円(買値)-0.20円(ロスカットまでの値幅)=119.80円
ということで、120円で買ったドル円は100円まで下落するずっと手前である買値から0.20円下落した119.80円の段階でロスカットとなり、4万円を損切りとなりました。
パターン2:
レバレッジ2倍程度にするために2万ドルを買った場合
結果:
この場合、45.20円(=20銭)下落した74.80円になるまでロスカットになることはありません。
計算
100万円(投資資金)-9.6万円(証拠金)=90万4,000円(余剰金)
90万4,000円(余剰金)÷2万ドル(取引量)=45.20円(ロスカットまでの値幅)
120.00円(買値)-45.20円(ロスカットまでの値幅)=74.80円
ということで、仮に120円から80円まで大暴落したとしても、ロスカットレベルが74.80円なので、ロスカットにはなりません。
このように、レバレッジを2倍程度にすることによってロスカットまでの値幅は大きく見ることができることから、このことを多くのサイトや本では「リスク軽減になるので推奨します」と薦めているのです。
でも、よーく考えてみてください。
確かにドルが80円まで下落してもロスカットにはなっていません。しかし、実際に80円になった際の含み損はいくらになっていると思いますか。
ドルが80円まで下落した際の含み損は、なんと80万円です。
計算:
(下落した価格の80円-買値の120円)×2万ドル=-80万円
これを聞くと、「マイナス80万円といってもそれは含み損であるので、決済しない限りは価格が戻れば含み損も減るので問題ない」と思う方が多いです。
でも、価格が戻るかどうかなんて分からないですし、もし戻るとしてもいつまで待たなければならないのかも分かりません。
下図を見てください。
まずは、ユーロ円の月足チャートです。
次は、ポンド円の月足チャートです。
各チャートは過去3年位前から現在までのものですが、大きく下落後、いまだに価格は戻っていません。今後戻るかもしれませんが、いつになるかも分からないのです。
「だからFXは怖いんだ」ではなく、「これだけの値動きがあるから大きな利益になるんだ」なんですね。
それを、価格が戻るまでは投資資金の100万円は動かすことができず、多額の含み損を抱えて精神的にもダメージを受け、時間も資金も身体も無駄にして疲労するなんて非常にもったいないことです。
それなら、さっさと早めに損切りして売りポジションを持った方が、余程大きく利益になるのに、と思ってしまうのです。
ということで、低レバレッジにすることはロスカットになる確率は下げますが、同時に含み損を大きく抱えてしまう確率が高まるため、決して初心者におススメできるものではないのです。
では、FX初心者はレバレッジ何倍くらいがいいのか
それでは、初心者の方はどれ位の倍率で行えばいいのでしょうか。
それは、「レバレッジは関係ない」であります。言い方を変えれば「レバレッジを検討すること自体無意味」ということであります。
こう書くと「えー!」という感想をいただくのですが、本当のことです。
なぜ、レバレッジは関係ないのでしょうか。それは、レバレッジの倍率を変更してもリスクをコントロールすることはできないからです。
ハイレバレッジにするとあっという間にロスカットになるし、低レバレッジにすると、相場状況によっては含み損を大きく抱えてしまうことになりかねないので、問題はレバレッジではないのです。
では、リスクをコントロールするにはどうすればいいのかというと、それは、損失額をコントロールすればいいだけなんです。その方法の詳細はFXで失敗しないために行うたった1つだけの方法がこれ!に書いてあるのでご覧ください。
まとめ
今回は、多くのサイトで紹介されている「FXの低レバレッジはリスクが低いのでいい」という考えがなぜ間違いなのか、ということをご紹介しました。
ポイントはこうです。
- 低レバレッジはローリスクは間違い→反対に含み損は大きくなるんだよ
- ロスカットはリスクではないよ→リスクは別にあるよ
- そもそもロスカットにならなければいいということ自体が間違い
- レバレッジが〇〇倍なら勝てるというのは間違い
- お薦めのレバレッジなんてないよ→リスクはコントロールするものだよ
といったところです。
FXで勝てるようになるのに、「レバレッジをどうするか」は関係ありません。是非この機会に、FXの何がリスクで何が違うのかを知って、間違いこそリスクであることを理解して勝てるようになってもらえればうれしい限りです。